どもども、Kemmyです。
数年前、私は北陸の地方SIerから、都内のIT企業に転職しました。条件はひとつだけ、「フルリモートであること」。家族のいる地元で暮らしたかったからです。
結果は18社応募して内定2社。数字だけ見れば、うまくいった転職活動に見えます。
でも実際は、途中まで6連敗でした。
しかも、その敗因が当時の私にはよく分かりませんでした。「力不足」「受け身に感じた」——面接では、そんな評価が返ってきたんです。
先に結論を書いておきます。
正当な理由であることと、面接官に伝わることは、別の話でした。
私は正直に答えていました。後ろめたいことは何もなかった。だからこそ、答えを変えようという発想が出てこなかったんです。
条件があって転職する人——地方在住、育児、介護、持病。そういう人にこそ読んでほしい話です。
目次
なぜフルリモートが絶対条件だったのか
働き方の好みではありませんでした。
前職は北陸の会社でしたが、私は平日ずっと東京で客先常駐をしていました。家族は地元にいるので、会えるのは週末だけ。そういう生活が長く続いていました。
そこにコロナが来ます。常駐先は在宅勤務に切り替わりました。ところが私は、地元に帰れませんでした。当時は、都会から地方に戻ってウイルスを持ち込んだとなれば、相当な批判を受ける空気があったからです。
結果、どうなったか。
東京のアパートで、ひとりでリモートワークをしていました。
出社の必要はない。それなのに東京にいて、家族には会えない。何のためにここにいるのか、自分でも説明できない状態でした。
この期間があったから、フルリモートは譲れない条件になりました。
18社の結果
企業名は伏せますが、数字はすべて当時の管理表そのままです。
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 応募 | 18 |
| 書類選考NG | 9 |
| 一次面接NG | 4 |
| 二次面接NG | 1 |
| 技術試験NG | 1 |
| 選考中のまま辞退 | 1 |
| 内定 | 2 |
書類通過率は18社中9社で50%。フルリモート限定という縛りを考えると、悪くない数字だと思っています。
問題は、その先でした。
6社目まで、全敗
書類選考を通過し、結果が出た8社を、面接を受けた順番に並べてみます。
| 順番 | 企業タイプ | 結果 | 言われたこと |
|---|---|---|---|
| 1社目 | ITコンサル(志望度★5) | ❌ | 受け身に感じたため |
| 2社目 | コンサル | ❌ | 技術試験が解けなかった |
| 3社目 | コンサル | ❌ | 経験と希望条件を鑑み、ポジション用意が難しい |
| 4社目 | 外資系コンサル(志望度★5) | ❌ | マネージャーではなくシニアなら |
| 5社目 | コンサル | ❌ | リーダーや顧客調整役としては力不足感 |
| 6社目 | コンサル | ❌ | スキル不足のため活躍は難しい |
| 7社目 | 大手事業会社(志望度★5) | ⭕ 内定 | 最終面接で内定提示 |
| 8社目 | 大手コンサルグループのシステム開発会社 | ⭕ 内定 | 内定後に辞退 |
6社目まで全敗。7社目から2連勝。
しかも6社目と7社目の面接は、翌日でした。一晩で実力が変わったわけではありません。
では、何が変わったのか。その前に、前半で受けたフィードバックについて書かせてください。
「受け身に感じたため」
一番こたえたのは、記念すべき面接1社目のフィードバックでした。
「受け身に感じたため」
正直、意味が分かりませんでした。
私は転職を自分で決めて、エージェントを3社使って、18社に応募して、応募管理表まで作って進めていました。志望度も★5をつけた本命企業でした。やる気がないはずがない。
さらに別の会社からは、こう言われました。
「開発案件でのリーダーや顧客調整役としては力不足感を感じました」
これも、こたえました。
当時の私は、前職で部門を任される立場でした。数十名規模の部門を任され、予算とメンバーを管理し、20名以上のプロジェクトを要件定義から稼働まで進めた経験もありました。
もちろん、それが世の中で通用するレベルだと思っていたわけではありません。求められる規模も業界も違えば、評価が変わるのは当然です。力不足という評価自体は、受け止めるべきものだったと思います。
ただ、ひとつだけ引っかかりました。面接で、その話をほとんどしていなかったんです。
チームをどう動かしてきたか、顧客とどう向き合ってきたか。聞かれなかったし、自分から話してもいなかった。評価される材料を、自分で出していなかった。
そして思い当たったのが、転職理由として何を話していたかでした。
落とし穴は「正当な理由だから問題ない」
当時の私は、こう答えていました。
「フルリモートで働きたいからです。家族と暮らしたいので」
嘘は一つもありません。正直に答えたつもりでした。
そして正直なところ、この答えに問題があるとは思っていませんでした。
家族と暮らしたい。単身赴任の状態を解消したい。誰に対しても胸を張って言える理由です。だから、これで落ちるなら会社との相性の問題だろう——そう考えていました。
ここが、私の一番の落とし穴でした。
面接官の側に立って聞き直すと、この答えはこう聞こえます。
「この人は、働く環境を求めている」
つまり、会社から何かを与えてもらうことが目的の人に聞こえる。仕事の中身の話が一切出てこないからです。
家族と暮らしたいという理由は、人間としては何も間違っていません。でも、それは「この人を採用したい理由」にはならないんです。
少なくとも、1社目の面接官に「受け身」と映った理由は、ここにあったのだと思います。
そして厄介なのは、自分では正しいことを言っているつもりなので、直そうという発想が出てこないことです。私はこれに気づくまで、6社を要しました。
変えたのは、転職理由の「中心」
そこで、話す内容を変えました。
変更前:フルリモートで働きたいからです
変更後:今は要件定義から下の工程が中心ですが、もっと上流から、企画や構想の段階から一貫して関わりたいと考えています
大事なのは、嘘をついたわけでも、希望条件を隠したわけでもないということです。フルリモート希望は最後まで一貫して伝え続けました。
「上流から一貫して関わりたい」という思いも、面接用に後から作ったものではありません。もともと職務経歴書にも書いていた志向でした。ただ、面接ではフルリモートの話を転職理由の中心に置いてしまっていたんです。
変えたのは事実ではありません。転職理由の中心に何を置くかです。フルリモートは応募条件として伝えながら、面接では「どんな仕事をしたいのか」を中心に置きました。
- 中心が「働き方」→ 条件の話 → 与えられる側 → 受け身
- 中心が「仕事の中身」→ 役割の話 → 取りに行く側 → 能動的
私という人間も、希望条件も、まったく同じです。中心に置くものを入れ替えただけで、伝わり方が反転しました。
正直に話すことと、正しく伝わることは別物なんですね。
なお、時期をはっきりさせておきます。この言い方に変えたのは、6社目に落ちた直後でした。7社目と8社目は、一次面接から変更後の話し方です。つまり内定が出た2社は、どちらも「上流から一貫してやりたい」と話した会社でした。
もちろん、面接への慣れや企業との相性もあったと思います。話し方だけが原因だったと証明することはできません。それでも、6社目に落ちた直後に転職理由の中心を変え、その後の2社で続けて内定を得た。私にとって大きな転機だったのは間違いありません。
やらかした最大の戦術ミス
最後に、一番反省していることを書きます。
もう一度、面接の順番を見てください。志望度★5をつけていた本命企業が、どこにあるか。
- ITコンサル ★5 ← 1社目
- 外資系コンサル ★5 ← 4社目
一番行きたかった会社を、一番下手だった最初にぶつけていました。
内定が出た会社の面接が7社目だったのは、半分は運です。エージェントの都合でたまたま後ろになった。もし逆だったら、私は今この会社にいません。
18社を管理表で並べて、志望度まで★でつけていたのに、面接の順番だけは何も設計していなかった。完全に私のミスでした。
これから転職する人へ
1. 正当な理由でも、そのまま伝えれば通るわけではない
フルリモート、時短、勤務地。家族や健康のための条件は、何も後ろめたくありません。だからこそ、そのまま言えば分かってもらえるはずと思ってしまう。私がそうでした。
でも、理由が正当かどうかと、採用したくなるかどうかは別です。条件は応募前に確認し、面接では仕事の中身を中心に話す。 隠す必要はありません。中心に何を置くかの問題です。
2. 面接は慣れる。だから順番を設計する
本命を最初に置かない。条件が合えば入社を検討できる企業を、先に2〜3社受けておく。本命は、最低でも4〜5社を経験してから。私は6社分の授業料を払いました。
3. 落ちた理由は必ず聞く
「受け身に感じた」という一言がなければ、私は何も変えられないままだったはずです。必ず答えが返ってくるとは限りませんが、確認を依頼する価値は十分にあります。
おわりに
次回は、この転職活動で使っていた18社分の応募管理表そのものを公開しようと思います。OpenWorkの評点と志望度を並べて管理していたのですが、これが5週間で決着できた理由のひとつでした。
それでは、また。